
本年3月から開催している企画展「大絵巻展」も、閉幕まで残りわずかとなってきました。
日本全国鉱山絵巻大集合!
鉱山絵巻は、おもに鉱山の採掘から製錬にいたる一連の作業工程をビジュアル的に表現した絵巻物です。
代官や幕府の役人に対して、鉱山での作業工程を説明するために制作されたものであるため、私たちにとっても視覚的にわかりやすく理解することができます。
企画展「大絵巻展」では、全国有数の鉱山絵巻を誇る「なかむらコレクション」より、院内(秋田)、阿仁(秋田)、佐渡(新潟)、生野(兵庫)、石見(島根)、別子(愛媛)という、国内屈指の金銀銅山の絵巻を一堂に公開しています。

別子銅山絵巻
鉱山の道具や技術を比較!
鉱山絵巻を見比べると、それぞれの鉱山の地域的な特徴がみえてきます。
灯火(ともしび)を例にみると、佐渡では素焼きの皿に油を入れ、灯心をひたして火をともしています。
また、石見と別子(べっし)では油を入れる容器にサザエの殻を用いていて、生野(いくの)では細い木の先に油を染み込ませた縄を巻きつけて燃やしています。

佐渡金銀山絵巻
鉱山のイメージが変わる!
鉱山絵巻には、鮮やかな着物に身を包んで、生き生きとした表情で仕事や生活にいそしむ人々の姿が描かれています。
院内(いんない)銀山絵巻の老若男女が輪になって鉱石を細かく砕く場面では、まるで話し声が聞こえてきそうな感じさえします。
また、佐渡金銀山絵巻では日常の暮らしの風景、阿仁(あに)銅山絵巻では伝統文化の獅子踊に興じる子どもたちを見ることができます。

院内銀山絵巻
ぜひ往時の人々の仕事や暮らしの姿を思い描きながら、鉱山絵巻の内に潜む熱量を感じてみてください。
企画展「大絵巻展」
会期:2019年3月20日(水)~9月10日(火)
会場:石見銀山資料館
URL:https://igmuseum.jp/exhibition/

鉱山絵巻など10点の資料を展示
※アイキャッチ画像は「石見銀山絵巻」(個人蔵)